「持続的成長」と
「財務健全性の維持・向上」の
両立を実現してまいります。
2024年度決算の振り返りおよび中期経営計画の進捗
2024年度は、雇用および所得環境の改善や個人消費の持ち直しの兆しが見られる一方で、各国の通商政策の動向や為替変動等の影響もあり、先行き不透明な状況が継続しました。そのようななか、食材費や人件費を中心としたコスト上昇の影響を想定以上に受けましたが、販売価格の適正化への取り組みなどが功を奏し、大規模リニューアル工事費用の増加も吸収し、業績は2期連続での最高益を更新しました。
また、中期経営計画の進捗については、掲げた各施策を実行するなか、訪日外客数が想定を大幅に上回り、販売価格の適正化なども寄与した結果、当初の想定より1年早いペースで業績が推移しています。現時点における2028年までの目標開発室数への進捗は、寮事業が目標50,000室に対して97%、ドーミーイン事業が目標20,000室に対して102%、リゾート事業が目標5,500室に対して98%と概ね順調に推移しています。また、施設の増加に対応する人材の確保については、寮事業における学校様とのリレーションシップもあり、新卒採用者を中心に十分に確保できる見込みであり、次年度の新卒採用計画では約380名の入社を予定しています。
なお、中期経営計画の最終年度の定量目標に対する2025年3月期の実績(KPI)は、売上高が2,289億円と81.7%、営業利益が204億円と72.8%、営業利益率は8.9%とあと1.1ポイント、ROEは15.7%と超過、EPSも186円と93%、NetD/Eレシオは1.24倍とあと0.24ポイントと順調に推移しています。
財務・資本政策の基本方針
当社は、「持続的成長の実現」と「財務健全性の維持・向上」の両立を、財務・資本政策の基本方針としています。
これを実現するため、成長投資に対しては収益性とリスクの両面から精緻な評価を行い、資本効率の最大化に取組んでいます。
具体的には、ROEを重要な経営指標と位置づけており、資本コストを上回るリターンの確保を目指しています。当社の中期的な目標として、ROEを安定的に10%以上に維持・向上させることを掲げており、その実現に向けて事業ポートフォリオの見直しやコスト構造改革、資本効率を意識した投資配分を進めています。
一方で、成長投資を積極的に推進するなかでも、健全な財務基盤の維持は重要であると認識しており、NetD/Eレシオをコアな健全性指標として掲げています。現時点では、NetD/Eレシオ1.0倍以下が適正水準と考えており、手元流動性の適正な確保と有利子負債の効率的な運用を通じて、財務の安定性を維持していきます。
リスクコントロールの面では、経営リスクの全社的な可視化および管理に取組んでおり、主要な財務リスク(為替、金利、信用など)に対しては、ヘッジの活用やリスク限度の明確化といった具体策を講じています。また、内部統制および内部監査部門による定期的な検証とフォローアップを通じ、ガバナンスの実効性を高めています。
中長期的な企業価値創造に向けた財務戦略
当社は長期ビジョンとして「KYORITSU Growth Vision」、サブタイトルとして「For The Next Future
3&3&3(トリプルスリー)」を掲げています。3&3&3(トリプルスリー)とは、「100年企業」を標榜する当社が創業50周年に当たる2030年に、売上高3,000億円、営業利益300億円を達成することを目標とし、併せて顧客満足度・従業員満足度・ブランド力・労働生産性のさらなる向上と新規開発エリアの拡大を図ることを目指しており、長期的には、これを一つの通過点と位置づけています。
長期ビジョンを実現するための具体策として、中期経営計画「Rise Up Plan 2028」を策定し、取り組みを進めています。「Rise Up Plan 2028」では、骨子を「コロナからの回復
そして再成長へ」と「顧客満足度のさらなる追求とエリアの拡大」と設定しました。具体的には【外部成長】として「新規開発による室数の増加」と「販売価格の適正化」によりトップラインを向上させること、【内部成長】として「DX活用による集客費用の適正化」と「DX活用による労働生産性の向上」により収益性の向上を図ることとし、併せて人材戦略、サスティナビリティ戦略にも取組んでいます。また、新たにアクティブシニアを対象とした施設を含めたシニアライフ事業の育成強化、海外事業の検討など、新しい領域への取り組みも進めています。
当社は創業以来「顧客第一を会社の心とする」という経営理念のもと、「食と住のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与する」という経営方針を掲げ、実践してきました。そして2018年からは、コーポレートスローガンとして「よい朝のために。」を加え、食と住を通じて心からのくつろぎや安らぎをご提供し、すべての方々が生き生きとした豊かな人生をおくり、希望と活力にあふれた新しい1日を迎えていただけるよう、「よい朝」をつくる活動を推進しています。
この活動を継続的に進化させることによって、長期的な経済的価値と社会的価値を創造し提供していきます。
収益性の向上と資本コストの低減
現時点における当社の資本コストは、7~8%程度と認識しており、本中期経営計画ではROE目標を10%に設定しています。足元では、ホテル事業におけるインバウンド需要の増加という追い風のもと、販売価格の適正化による収益性改善が進み、本計画目標を上回るROEを実現しています。ROEにつきましては、エクイティスプレッド確保の観点から、安定的に10%以上を維持することを目指しており、本計画に掲げる各施策の推進を通じて、さらなる収益性の向上を目指していきます。
PBRについては、当社の企業価値や成長性をご評価いただき、現在2倍超と市場平均を上回っていますが、まだまだ成長余地があると認識しており、引き続きROEの向上を図るとともに、投資家様との対話や積極的なIR・PR活動を通じて成長戦略を明確に発信し、さらなるPBRの向上を目指していきます。
さらに投資家様との対話やガバナンス強化などを通じて、資本コストの低減にも積極的に取組んでいきます。
キャッシュアロケーション
本中期経営計画の期間中に創出される営業キャッシュフローは1,250億円と見込んでおり、これに不動産流動化による550億円と金融機関様からの調達600億円を加え、総額2,400億円を原資とする計画です。この資金をもとに、当社の2大エンジンである安定成長を続ける寮事業と、成長率の高いホテル事業における新規開発投資に1,950億円、既存施設への大規模リニューアルに350億円、そしてお客様の利便性向上と業務効率化を目的としたDX投資に100億円を充てる方針です。
なお、新規開発や大規模リニューアルにおいては、建築コストの上昇が大きな課題となっていますが、設計・設備面での工夫や比較的投資効率の高い『御宿
野乃』シリーズの展開などにより、効率性を確保しつつ、収益性の検証を厳しく行っています。
成長投資の重点分野としては、より高い成長性が期待できるホテル事業を中心に推進する一方で、寮事業においても引き続き安定的な成長投資を継続していきます。
ROEの推移
株主還元方針
株主還元については、「業績連動・収益対応型配当により株主の皆様に利益還元する」との観点、ならびに「長期にわたり安定して着実に株主の皆様に報いる」という方針に基づき、安定的かつ継続的な増配を目指しています。今後も財務バランスを勘案しながら、現状の目標である「配当性向20%以上」を下限として、最適な株主還元を検討していきます。なお、現時点においては、今後の成長性に鑑み、DOEよりも配当性向を重視するほうがTSRの向上に寄与すると考えています。
本中期経営計画の期間中は、新規開発などの成長投資に積極的に資金を振り向け、中長期的な企業成長を図る一方で、足元においても着実な成長により配当実額を高めることで、TSR向上を実現していきます。
また、株主優待制度についても、2025年3月31日を基準日として、株主優待券の増額、利用期間の延長、優待券の電子化など大幅な拡充を行い、より多くの株主様に当社サービスをご利用いただけるよう推進しています。
配当
※2024年3月期における特殊要因である、持分法による投資利益50.2億円および減損損失20.1億円の影響を除いた場合の配当性向は20.3%
※2024年4月1日付で、普通株式1株につき2株の割合で行った株式分割を考慮した配当額、EPSを記載
ステークホルダーの皆様へ
当社は、経営方針として「食と住のサービスを通じ、広く社会の発展に寄与する」を掲げ、祖業である寮事業において「お客様のお役に立つ」や「お世話する心」といったアイデンティティを育み、その想いのなかから、ホテル事業が生まれ、今日に至っています。この当社特有のアイデンティティを忘れることなくさらに進化させ、安定成長が見込まれる「寮事業」と成長著しい「ホテル事業」の2大エンジンを、さらに強化するとともに、新たな商品やサービスの開発を推進し、持続的な企業価値の向上を図っていきます。
また、「資本コストや株価を意識した経営」にも真摯に取り組み、ステークホルダーの皆様からのご助言を頂戴しながら、資本コストや株価の趨勢をしっかりと認識し取組んでいきますので、引き続きご支援・ご声援のほど何卒よろしくお願いいたします。
株式会社 共立メンテナンス
常務取締役 髙久 学